カナダにいらっしゃい!

カナダ高校留学生物語3 - 「スムーズな留学は高い能力の特権」

大澤眞知子 Machiko Osawa Episode 214

留学についての相談を受け始めたのが1995年あたりからです。

実際にバンクーバーに家を買い、そこで地元今治から連れて行った生徒たちとのサポートを始めていました。今治とバンクーバーを年間8回ほどエア・カナダで往復するという「時差ボケ」生活が始まった頃です。


今治のオフィスに親子がやってきました。


地元の中学では優等生。話し方を聞いても「この子はあったまいいなぁ〜」と直感しました。


(PodCast)



すべてスムーズに進んだ高校留学に聞こえましたか?


そう、彼女の頭脳がそうさせたんです。

ホストは、まぁあんなもんです。

あくまでも他人。他人の家でいかにひとりの人間として同居できるか、それをわきまえていることがとても大切なのがホームステイです。


現状はかなり厳しくなってきているようですけどね。

移民家庭が大半を占め、またやってくる日本人高校生の幼さが目立つようになりました。

Aちゃんのような大人の精神力を持った留学生にはめったにお目にかかることがなくなった気がします。


そう、大人の精神力を持ち、知力・学力にもともと優れていること。


よく勘違いしている留学生をみかけますが、知力・学力はもともとないところからは何も出て来ません。

いくら親が大金をはたいても、本人がいくら〘自分は卒業して大学に行く}という不毛な夢を持っていても、もとの能力(残酷ですが)がない限り、高校留学は幻であると考えて下さい。


誰でも構わず送るようになった1990年代後半のエージェント、誰でも構わず受け入れるようになった(通知表が2でも)カナダの学区が、日本から大挙して押し寄せる、留学には全く届かない頭脳を日本から大金と引き換えに受け取るようになりました。


これを「詐欺」と呼びます。


カナダ高校には、日本の中学でトップクラスの成績を取っているなら、いらっしゃい!




留学についての相談を受け始めたのが1995年あたりからです。

実際にバンクーバーに家を買い、そこで地元今治から連れて行った生徒たちとのサポートを始めていました。今治とバンクーバーを年間8回ほどエア・カナダで往復するという「時差ボケ」生活が始まった頃です。


今治のオフィスに親子がやってきました。


ほっぺの赤い、笑顔が素朴で、中学の制服を着た女生徒と、そのお母さん。私達のカナダ留学プログラムが地元でも人の耳に上るようになって来た頃でした。


いきなり。


「高校からカナダに行きたいです。」


どうやって思い出してもどうしてもその時の彼女の答えが思い出せません。多分こんな答えだったかなと。


「日本で出来ないことをカナダでやりたいです。」


みたいな至極普通の答えだったと記憶しています。


地元の中学では優等生。話し方を聞いても「この子はあったまいいなぁ〜」と直感しました。

お父様がまた素敵で。農業をなさっている方でしたが、話す内容が実に人間味にあふれて面白い。ブラックユーモアもたっぷりで(ここが私のロバートと同じです)ちょっと口をゆがめてニヤリと笑う顔が今でも目の前に浮かびます。


さて、早速すぐに教室(カナダクラブの前身でSuper World Clubと呼んでました)に通って来るようになり、特にエッセイを始めとしたカナダ高校のカリキュラムについていけるよう特訓しました。


同じ時期に面倒を見た高校留学生の中でも学力は抜群。明らかな成功の前途を予告出来るものでした。


私のコラムでもeBookでも何度も書いてますが、私は決して高校留学すべてを否定しているわけではないと。

日本でもトップクラスの学力と、カナダでやっていける強さ、特性があれば、そして本人に動機があり、親の全面サポートがあるならば、どうぞ。


彼女、Aちゃんと呼びます、が当にそのお手本のような生徒でした。


さて、日本の中学卒業後の3月終わり、「よっしゃぁ!」とバンクーバー空港に降り立ちました。

こういっては女の子に失礼かもですが、彼女は後ろから見るとまるでのっしのっしと歩いているように見えるんです。頼もしいというか、後ろから走って行って、思わずしがみつきたいような妙な魅力がありました。


さて、郊外の町で留学開始。

ホストは、イギリスから来た家族、小さな男の子が3人います。

広い敷地の庭にはなんとサッカー場まであります。


ちょっと気になったのが、ホストママが結構感情的であること。

それに小さな男の子3人。白人の子どもは結構しつけがなってないですから、日本人の感覚から見ると。勝手に留学生の部屋に入って来て勝手に物を持っていったり、遊んでほしい時に無視すると大泣きして親にいいつける。

親は完全に子どもの味方。


Aちゃんが子どもと一緒にサッカーをしていて、ひとりの子が転んで「今にも死ぬか」と思えるほど大騒ぎ。ママが太った体をゆすって走って来て「Oh baby,Baby」と大騒ぎ。

Aちゃんは「はぁ?」という顔で立っていたそうですが(そんな傷なめたら治る!とでもいいたそうに。わかるわかる、私も言いたい。)、実はそれがその後のホストとの関係に大きな影響を与えてしまいました。


めんどくさいんですよね、白人のホストママの感情をさかなでしないようにするには。


結局、最後は、何か家の中のものがなくなったのをAちゃんのせいにされ、出ていくことになりました。

次のホストは年配の女性の一人暮らし。

独占欲というか、Aちゃんのことは全部自分が決めるべきと、何か妙な思い込みをし、Achanの自由な行動を制限しようとし、結局私が怒鳴り込み、そこを出しました。


次のホストは、大きな家に住む夫婦と成人した男の子2人。特になんということもなく、特に親しくなるでもなく、ま、同居人としての暮らし方をわきまえた(前の2回の経験から、残念ながら)Aちゃんはことなくそこで卒業まで暮らしました。


時間が前後しますが、4月から6月は、9月から新学年を始める高校で4コース聴講させてもらいました。でも、頭のいいAちゃんですから、たった3ヶ月で(コース自体は2月から始まってます)Math10、Science10の単位をとっちゃいました。すご!


エージェントはお決まりのようにまず語学学校を勧めますが、あんなの詐欺に近いですよ。語学学校など、何の役にもたちませんし、お金の無駄です。それより、留学生である高校の聴講生として、実際の授業を体験させてもらうべきです。が、そんなこと交渉してくれるエージェントなどいませんよね。すべて学区のいいなり。また、語学学校からのリベートも大きいですから。今では残念ながら9月の新学期までに、コースに慣れるための聴講など、聞くことがなくなりました。


直接親が学区と話、エージェント抜きで(絶対お勧め)、交渉している場合は、絶対この4月から6月の聴講の話を進めて下さい。その後の留学生活が大きく変わりますから。


Grade10,11,12とAちゃんの学業は非常に順調でした。私やロバートがアサインメントや授業の内容などへのヘルプをすることももちろん多かったですが、そのたびにAちゃんが成長していったのを見守っていました。


部活ももちろん、のっしのっしと(ごめん!)積極的に参加し、バスケットバールの選手になり、学校対抗戦では大活躍。車で2時間かけて応援に行ったのも今では楽しい思い出です。


そして、見事良い成績で3年で卒業。卒業式にはお母さんが着物を来て出席なさいましたよ。私までが晴れ晴れした気持ちになった日です。


卒業後は、まずはカレッジで大学教育に慣れることを目指しました。異国の高校で外国語を使った必死の勉強と、類まれな知力を武器に3年頑張りましたが、まだまだ大学レベルのペースに追いつくには少し準備が必要と、州立カレッジに入学、そこで彼女は自分のやりたいことに出会いました。


ずっとスポーツをやってきた経験から、国際的なトレーナーを目指すと。

Kinesiologyという分野です。


しかも、自分の行きたい大学も自分で発見。Kinesiologyの本拠地、アメリカに乗り込んだんです。

アメリカアイオワ州の大学を卒業、見事国政アスレチックトレーナーの資格を取り、日本に戻りました。


すべてスムーズに進んだ高校留学に聞こえましたか?


そう、彼女の頭脳がそうさせたんです。

ホストは、まぁあんなもんです。

あくまでも他人。他人の家でいかにひとりの人間として同居できるか、それをわきまえていることがとても大切なのがホームステイです。


現状はかなり厳しくなってきているようですけどね。

移民家庭が大半を占め、またやってくる日本人高校生の幼さが目立つようになりました。

Aちゃんのような大人の精神力を持った留学生にはめったにお目にかかることがなくなった気がします。


そう、大人の精神力を持ち、知力・学力にもともと優れていること。


よく勘違いしている留学生をみかけますが、知力・学力はもともとないところからは何も出て来ません。

いくら親が大金をはたいても、本人がいくら〘自分は卒業して大学に行く}という不毛な夢を持っていても、もとの能力(残酷ですが)がない限り、高校留学は幻であると考えて下さい。


誰でも構わず送るようになった1990年代後半のエージェント、誰でも構わず受け入れるようになった(通知表が2でも)カナダの学区が、日本から大挙して押し寄せる、留学には全く届かない頭脳を日本から大金と引き換えに受け取るようになりました。


これを「詐欺」と呼びます。


カナダ高校には、日本の中学でトップクラスの成績を取っているなら、いらっしゃい!